Villa in the Forest / 森の別荘

始まり
整備の行き届いてない自然の地形、普段では意識することのない身体の動きを使って散策する敷地。足元から感じるその歪な感覚や傾斜のある地形は立つ場所によって見える景色を変化させる。足元の落葉やから木の上の鳥の巣、様々な景色が見えてくる。きっかけがみつけられず敷地をさまよいあるくなか、それらの対象に気づかせてくれたのは木の隙間から差し込む光である。その光をきっかけに敷地の見え方が変わり、それまで見落としていた世界が見えてきた。

建築として
時間とともに刻々と変化するその光を頼りに居場所を見つける。その光をより特徴的なものとするための空間。感覚を頼りにその時心地よいと思ったその場所に。その感覚は普段の生活で閉塞してしまった感覚を取り戻すきっかけとなるかもしれない。その感覚を日常に持ち帰ることにより、日常の環境の些細な変化への気づきとなるような建築を設計する。

地形の連続
森の地形から続く空間。普段の生活における都市の快適で安全な空間に対して、自然は不安定で不確かであり森を散策するには動物的な感覚を必要とする。その感覚に意識を向けるための地形的空間。立つ場所により身体の使い方に変化が生まれる。光と呼応する刻々と変化する光とそれに呼応するような不規則な床や壁。光は制限されることによって、より強調されて空間に降り注ぐ。視覚的には大きな壁に光の美しさを顕現させたり、明るさを求め陽だまりで暖かさを感じる、夏の暑い日はその光から逃げるように移動する。季節や時間による光の変化によって様々な居場所をつくり出す。

遊動の場
身体の動きを最小にすることで快適性を生む現代の都市と向き合う建築。地形的空間やそこから生まれる領域から動きを誘発する遊動の場。動くということ、そこで感じる身体感覚は知覚を触発するとともに光をきっかけに認識の可能性の幅を拡げることを期待する。

滲む境界
動的領域と静的領域が時間の変化によって混じりあう。光がつくる動的な領域と影がつくる静的な領域。機能で分けられた領域ではなく、身体に訴えかけるような混じりあう領域。変化する領域の中で境界は溶け合い滲んであいまいとなる。身体で感じ取った快適性を求め動物的に居場所を探す。それはこの建築を機能から選び取る受動的な選択性ではなく能動的な選択性をもたらすものにする。

そして棲息する